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物件を探す
物件情報を得るには①新聞・雑誌広告②新聞折込チラシ③パンフレット④インターネット広告などの媒体があります。この中で最も身近なのはインターネット広告でしょう。インターネット広告は、不動産物件検索サイトや不動産会社のホームページから検索できます。スマートフォン向けのアプリも多数出ています。
不動産広告は、不動産の情報を消費者に誤解なく正しく提供しなければなりません。そのため、不当な広告の表示を規制するためのルールを定めた公正競争表示規約があります。不動産会社はどの会社もこのルールに従って広告しています。不動産会社がこの規制を守らず不当表示を行った場合は、行政処分を受けることになります。①~④にあげた媒体は、どれも表示規約にのっとって広告されています(例外として店頭ビラや電車中吊り広告、現地看板など規制がないものもあります)
今回は、広告から得られる情報について、わかりやすく説明します。また、不当な表示についても説明します。広告の表示内容を理解し、自分の求める物件が選択できるようにしましょう。
広告できるタイミング
新築物件の場合は建築確認を受けた後、造成工事中の宅地の場合は開発許可を受けた後でなければ、広告ができません。建築完了前の物件広告には、建築確認番号を記載しなければなりません。また、造成工事完了前の宅地は、開発許可番号を載せなければなりません。架空の番号を載せることは違反になります。
新築と中古
広告で「新築」と表示できるのは「建築後1年未満かつ未入居である」物件です。それ以外は中古になります。
物件写真、完成図、完成予定図
土地や建物の写真は、実際取引するものを掲載しなければなりません。ただし、建築工事中で実際の写真が使えない場合は、その写真が他物件のものであることを明示し、取引しようとする建物と規模、形質及び外観が同一である写真であれば掲載できます。また、建物内部の写真も、写っている内容の規模、形質が同様のものに限って使用できます。完成(予定)図は、その旨を明示し、現況に合致した表示を行います。
間取
間取は公正競争表示規約で使用基準が示されています。居室(寝室)数やリビングダイニングなどの部屋の状況を3LDKなどと表します。3は洋室や和室のなど部屋数です。LDKは居間と食堂、台所が併存する部屋で、DKは食堂と台所が併存する部屋です。DK、LDKについては最低限必要な広さが定められています。例えば、居室の数が1部屋で3畳の食堂と台所はK(台所)となりDKとは表示できません。
居室(寝室)数 | DK | LDK |
1部屋 | 4.5畳 | 8畳 |
2部屋以上 | 6畳以上 | 10畳以上 |
間取図では部屋の畳数が記載されますが、1畳当たりの広さは、各室の壁芯面積を1.62㎡で割った数です。京間、中京間、江戸間、団地サイズなどありますが、公正競争規約では1.62㎡を1畳としていますので、これ以下では1畳と表示でません。
また「納戸」とは、採光・換気のための窓等が建築基準法に適合しておらず、居室と認められないものを言います。洋室・和室・サービスルームや書斎などと表示することはできません。
販売価格
土地には消費税がかかりません。
一戸建てのように、土地以外の建物を含む物件の場合は、『税込』など消費税を含む価格を表示します。多区画の土地や複数(多棟)住戸の新築一戸建ての場合は、最低価格と最高価格を表示します。また、10以上の区画、住戸の場合は最多価格帯を表示します。
例:最多価格帯 2,800万円台(6棟)
交通の利便
物件の最寄駅からの徒歩所要時間、あるいはバス及びバス停からの所要時間を表示します。徒歩の場合は道路距離80メートルを1分と換算した時間となります(1分未満の端数は1分に切り上げ)。また、バスの所要時間は、バス会社による運行表の時間を記載します。信号待ちなどの時間は入っていません。
例2:小田急線町田駅バス6分 バス停『鞍掛』停歩2分
物件の所在地
個人情報保護法との関係から、マンション以外は〇丁目までの記載が多いです。
例(マンション):町田市中町1丁目11-8
土地面積と私道負担面積
㎡で表示します。1㎡未満の数値は切り捨てても良いですが、四捨五入はできません。尺貫法による間、坪などを取引に用いることは違反になります(併記することは可能)。多区画、多棟物件の場合は最低㎡、最高㎡数を記載します。水平投影面積で表示します。
私道負担とは①土地の一部が私道になっていること②敷地に接している道路が私道で、利用するために負担が生じること、のいずれかに当てはまる場合に発生する面積のことです。
販売区画数・総区画数、販売戸数・総戸数
開発区画内の土地の区画数または建築を予定する住宅の戸数を、総区画(総戸数)として表示します。販売区画数と販売戸数は販売しようとする区画数または戸数です。
例(分譲地):全11区画今回販売7区画
建物面積(専有面積)
建物の面積は延べ面積を㎡で表示し、その面積に車庫、地下車庫等の面積が含まれている時は、その旨とその面積を表示します。マンションの場合は壁芯面積(部屋を上から見て壁の中央から内側の面積)で記載するので、登記面積は壁芯面積より小さくなります。ただし中古マンションでは、建物登記簿に記載された面積を表示することができます。これは壁の内側の面積なので、壁芯面積のように壁の厚みは含みません。
例(一戸建て多棟の場合):建物面積 99.36㎡~105.98㎡
構造及び階数
建物構造と何階建ての建物であるか、および物件のある階数を表示します。建物構造は鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)と表示します。
バルコニー面積(マンションの場合)
バルコニー面積を表示します。両面バルコニー等複数バルコニーがある場合は、合計値を表示します。
専用庭がある場合は、面積と共に使用料も記載します。
建築年月または入居予定年月(新築・中古一戸建て、マンション)
建物が完成済みなら建築年月を、未完成なら入居できる予定年月を表示します。
例(新築の場合):令和〇年12月入居予定
管理費・修繕積立金(マンションの場合)
管理費は、敷地や建物の維持管理費用です。修繕積立金は共用部分などの修繕を長期計画的に行うための費用です。各々1か月あたりの費用を表示します。
管理方式(マンションの場合)
マンションの管理人の勤務形態を表示します。自主管理、日勤、常駐、巡回などを表示します。
建蔽率(土地の場合)
敷地面積に対する建築面積の割合で、住環境と防火上から守るべき基準が定められています。建蔽率が50%であれば、100㎡の敷地に建築面積50㎡以上の建物は建てられません。容積率と含めて、希望物件が建てられるか検討しましょう。
建蔽率(%)=建物面積/敷地面積×100
容積率(土地の場合)
容積率とは、建物の敷地面積に対する延べ床面積の割合です。容積率が150%であれば、他の建築基準の制約がなければ床面積50㎡の3階建ての住居が建てられます。
容積率(%)=延べ床面積/敷地面積×100
地目(土地の場合)
地目は田、畑、宅地、山林など宅地造成以前の土地の利用状況を知ることができます。
上記の例では、現在は宅地ですが、以前は山林だったことがわかります。
用途地域(土地・新築一戸建て・新築マンション)
用途地域は市街化区域内の土地の使い道を定めたもので、建築できる建物が制限されています。一戸建てを買ったけれど、後から前にマンションが建ってしまったなどという悲惨な目にあわないために、住宅の属する用途地域や、周辺の用途地域の確認が重要です。用途地域は住居、商業、工業地域に分かれています。
1.第一種低層住居専用地域
低層住宅の良好な住環境を守るための地域です。新築や中古の一戸建てのある用途地域は、第一種低層住居専用地域が多いです。10m又は12mの絶対高さの制限があり、1~3階建ての一戸建て中心の環境です。一定規模以下の住宅兼用の店舗や事務所、幼稚園~高等学校は建てられますが、大学や専門学校などは規制されます。コンビニも建てられません。
2.第二種低層住居専用地域
主に低層住宅の良好な環境を守るための地域です。第一種低層住居専用地域と規制は同じですが、違いはコンビニなどの150㎡以内の一定の店舗や飲食店などの建築ができることです。
3.第一種中高層住居専用地域
中高層住宅の良好な住環境を守るための地域です。建物の高さ制限がなく、マンションと戸建てが混在しています。大学や病院、500㎡以内の店舗、飲食店が建てられるので、生活の利便性があります。
4.第二種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域に加えて、2階以下で1500㎡以内の一定の店舗や飲食店などが建てられます。第一種よりも広い店舗や飲食店、オフィスの建築が可能で、ガソリンスタンドも建てられます。住居専用地域なのでカラオケ店やパチンコ店などは建てられません。
5.第一種住居地域
中高層住居専用地域よりも制限の少ない、住環境を保護するための地域です。3000㎡までの一定の店舗・事務所、ホテル、ボーリング場、環境への影響の少ない小規模な工場も建てられます。
6.第二種住居地域
10000㎡までの一定条件の店舗、事務所やホテル、マージャン屋、パチンコ店、カラオケボックス、環境への影響が少ない小規模な工場が建てられます。アパートやマンションも多く見受けられる地域です。
7.準住居地域
道路の沿道等で、自動車関連施設などと住居が調和した、環境を保護するための地域です。第二種住居地域に加えて、営業用の倉庫、映画館、劇場なども建てられます。
8.田園住居地域
農地と市街地の共存を図るために設定された住居地域です。低層の住居や農業用の施設(直販所、飲食店、貯蔵倉庫など)に限定して建築が可能です。建物の高さは低層住居専用地域と同じく、10mまたは12mの高さ制限があります。
9.近隣商業地域
近隣の住民が日用品や食料品等を購入できるように設けられた地域です。住宅としては高層マンションが立ち並ぶエリアです。生活の利便性は高いですが、映画館やパチンコ店も建ちます。延べ床面積の制限がないので、場合によっては中規模以上の建物が建ちます。
10.商業地域
商業などの利便の増進を図る地域で、市街地の中心部です。ナイトクラブ、ダンスホールなども建てられる繁華街です。住居に関する規制はなく、高層ビルやオフィスビルも建ちます。地価が高く、物件も高価です。
11.準工業地域
環境悪化の恐れのない工場が建てられます。工場以外にも住宅や店舗も混在している地域です。
12.工業地域
危険性や環境悪化の恐れもある工場や、大量の危険物を扱う貯蔵施設も建築できます。学校や病院は建てられませんが、住宅や店舗は建てることができます。
13.工業専用地域
工業地域よりも更に工業に特化した地域で、どんな工場でも建てられます。この地域に住宅は建てられません。
不利益になる事項、誤解の生じやすい事項の表示
1.セットバックが必要な土地
建築基準法では、幅4mに満たない道路は道路と認められません。しかし古くからの住宅地では、4mに満たない道路も道路としてみなされ、建物が建っています。再建築をする場合は幅4mの道路に建物の敷地を2m以上接道できなければ建築できないため、道路の中心線から2mを確保できる部分を購入した土地から道路として提供する必要があります。この部分をセットバックと呼びます。このような必要がある土地の場合、セットバックする旨を表示しなければなりません。セットバックする面積が土地面積の10%を越える場合は、その面積も表示します。
2.古家が建っている土地
土地として売っている場合、古家があると更地にするために古家を解体する費用がかかります。このことを消費者に伝えるために、“古家有”の記載をします。
3.建築条件付きの土地
建築条件付き土地は、一般的な建築条件のない土地と違い、家を建てる建築会社があらかじめ決められている土地のことです。売主か売主の指定したハウスメーカーなどの建築業者との間に、一定期間内(通常3ヶ月以内)に消費者と建物の建築請負契約締結することが決められていて、自分の好きなハウスメーカーを選ぶことはできません。
(この土地は土地売買契約後3か月以内に売主と住宅の建築請負契約を締結することにより販売されます。この期間内に建築請負契約を締結締結されなかった場合は土地売買契約は白紙となり、受領した手付金などの土地代金はすべてお返しします)
4.市街化調整区域の土地
市街化調整区域は建物を建てることを原則として認められていないので、市街化調整区域にある土地はその旨を表示します(例外で建てられる場合もあります)
5.路地状部分を含む土地
敷地まで行く間に、道路から細長い路地を通って行くような、土地の路地状部分が土地面積の30%以上を占める場合は、路地状部分を含む旨および路地状部分の割合または面積を表示します。
6.傾斜地を含む土地
土地面積に含まれる傾斜地の割合が30%以上ある場合は、その旨と傾斜地の割合または面積を表示します。傾斜地によって土地全体が有効に利用できない場合があるためです(マンション・別荘地を除く)
7.高圧線下の物件
土地の上を高圧線が通っている場合は、建物その他の工作物(物置など)の設置が制限または禁止されていることが通例なので、高圧線下の土地である旨およびその制限が及ぶ範囲の面積を表示します。
8.地上権が設定されている物件
地下を地下鉄が通っている場合で、土地の全部または一部の地下の範囲を定めた地上権が設定されている場合は、その旨を表示します。
9.不整形地
不整形地とは段差のある土地、三角形の土地など土地の有効利用が著しく制限を受ける土地で、その旨が言葉で書きづらい時は区画図を載せて表示することもあります。
例2:売地160㎡(地形:ほぼ二等辺三角形)
10.中古住宅・マンションのリフォーム状況
リフォームを表記する場合は、時期と内容を表示します。
11.学校や病院、役所など公共公益施設や商業施設
子どもと大人では同じ距離でもかかる時間が違うので、施設から物件までの道路距離で表示します。
まとめ
このように、不動産広告では消費者の利益を損なうような物件の不当表示を防止し、適切な選択が行えるようにルールを設けています。消費者もこのルールを理解し、物件の正しい理解に役立てましょう。また、広告だけを見て決めるのではなく、現地をしっかりと見て決めることも大切です。広告でおおよその目星をつけてから現地見学会を利用するといった役立て方で、希望の物件と出会いましょう。