朝日土地建物 不動産コラム

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記事カテゴリー:不動産を売りたい

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2021-08-30 16:50:52

契約不適合責任とは?

令和2年4月1日に施行された改正民法では、これまでの瑕疵担保責任に代わり、新たに契約不適合責任が制定されました。大きな違いは、買主が売主に請求できる権利の範囲が以前よりも広くなったことです。また、契約解除の緩和要件など買主の救済手段が増えているので、従来では難しかった買主からの契約解除の申し立てやそれに関わる訴訟なども増えてくるでしょう。中古住宅を売りたい方にとっては、売買する際に気をつけなければならないことが増えたのです。今回は、不動産売買の際にトラブルを招かないよう、契約不適合責任について説明していきます。

契約不適合責任とは?

売主は、売買契約の内容に合ったものを買主に引き渡す義務を負っています。契約不適合責任とは、この契約において売主が買主に引き渡した目的物が、その種類・品質の点で契約内容と異なっていたり、数量が不足していた場合(契約内容に適合していなかった場合)に、売主が負う責任を指します。例えば買主が雨漏りしていることを知っていて、それを契約書に明記していれば、売主は契約不適合責任を負うことはありません。ですが、買主が雨漏りしていることを知っていても契約書に明記していない、あるいは雨漏りがないことが前提での契約書では、契約内容と異なったものを売ったとして、売主は契約不適合責任を負うことになります。

瑕疵担保責任との違いは?

では、契約不適合責任は従来の瑕疵担保責任とどこが違うのでしょうか。赤字が法改正で変わった部分です。

<売主の瑕疵担保責任に関する見直しについて>(赤字が法改正部分)

買主の救済方法 買主に帰責事由あり 双方とも帰責事由なし 売主に帰責事由あり
損害賠償 できない できない できる
契約解除 できない できる できる
追完請求 できない できる できる
代金減額 できない できる できる

《情報元》法務省:民法(債権関係)の改正に関する説明資料-主な改正事項-p.43

<目的物に欠陥がある場合における担保責任の内容>(赤字が法改正部分)

売買 請負
瑕疵担保責任 契約不適合責任 瑕疵担保責任 契約不適合責任
修理・代替物等の請求 修理については〇
損害賠償
契約解除(催告解除・無催告解除) 〇(建物等に制限あり)
代金減額

《情報元》法務省:民法(債権関係)の改正に関する説明資料-主な改正事項-p.62

改正前の瑕疵担保責任では売買の目的物に「隠れた瑕疵がある」場合、買主は売主に対して損害賠償請求や契約解除ができました。しかし追完請求や代金減額請求はできませんでした。
一方契約不適合責任では、売買の目的物が「契約の内容に適合しない」時、買主は売主に対して追完請求ができます。代金減額請求も可能です。瑕疵担保責任よりも買主が請求できる権利が増えています。

買主が請求できる5つの権利

それでは、買主が売主に請求できる5つの権利について解説していきましょう。

① 追完請求

改めて完全な給付を請求することです。契約不適合責任の中で一番重要な請求権で、引き渡された売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に、買主が売主に対して目的物の補修・代替物の引渡し・不足分の引渡しを請求できる権利です。不動産取引においては、「修補請求(欠陥箇所の修理を請求できる)」ということになります。例えば、雨漏りしていないという契約内容で購入した住宅が実際は雨漏りした場合、買主は売主に対して「雨漏りを直してください」と請求できるということです。

②代金減額請求

追完請求の修補請求をしても売主が修理をしない時、または修理が不可能である時に認められる、追完請求を補う二次的な請求権です。代金減額請求は「買主が相当の期間を設けて修理を請求したのに修理してもらえない場合」に認められますが、直せないことが明らかな場合は直ちに代金の減額請求が認められると定められています。代金減額請求権は「直せるものは催告が必要」、「直せないもの等は催告が不要」という2段構えの請求権ということです。

③催告解除

催告解除は、追完請求や代金減額請求をしたにも関わらず売主が応じない場合に、買主が催告して契約を解除できる権利です。つまり、売主が追完請求に応じない場合、買主は「代金減額請求」と「催告解除」の2つの選択肢を持っていることになります。契約解除された場合、売主は買主に売買代金を返還しなければなりません。

④無催告解除

無催告解除は、契約不適合により「契約の目的を達しないとき」に限って行うことができます。ただし、若干の不適合程度では無催告解除は認められません。

⑤損害賠償請求

旧民法でも買主には損害賠償請求が認められていましたが、瑕疵担保責任による損害賠償請求は売主の無過失責任(故意、過失がなくても責任を負う)でした。契約不適合責任では、売主に帰責事由(責められる落ち度や過失)がない限り損害賠償は請求されないことになっています。また、瑕疵担保責任の損害賠償請求の範囲は「信頼利益※1」に限られましたが、契約不適合責任での範囲は「履行利益※2」も含まれます。売主が賠償しなければならない損害の範囲が広くなったということです。

※1:信頼利益…契約が不成立・無効になった場合に、それを有効であると信じたことによって被った損害のこと(登記費用などの契約締結のための準備費用など)
※2:履行利益…契約を締結した場合に債権者が得られたであろう利益を失った損害のこと(転売利益や営業利益など)

注意する点について

・完璧な状態で売る必要はありません!

設備に関するものも責任の対象になります。しかし中古住宅の売買で既存の設備を利用する場合、不具合のリスクは高くなってしまいます。設備に関しては契約不適合責任を負わないことを契約書面に明記することが大切です。

・「隠れた瑕疵」が通用しません!

契約不適合責任により「隠れた瑕疵(見えない欠陥や不具合)」が通用しなくなり、売買時に不動産の現状を細部まで知っておくことが重要になります。

・物件の状況を契約書に明記することが重要です!

不動産売買で重要なことは売買の目的物の現状を把握し、その内容をしっかりと契約書に記すことです。瑕疵があること自体ではなく、「契約書に明記されているか」がポイントになります。欠陥がある場合はどのような欠陥があり、その欠陥については責任を負わない旨を契約書に明記することが求められるのです。

・請求期限が変わりました!

瑕疵担保責任では引渡しから1年以内に権利行使が必要だったのに対し、契約不適合責任では「事実を知ってから1年以内に告知すれば足りる(ただし引渡し後5年以内で請求権は消失)」と変わっています。

まとめ~不動産取引におけるインスペクションの薦め~

契約不適合責任は売主がどのくらい現状を把握しているかが重要になります。しかし中古住宅の経年劣化を客観的に把握することは難しいことです。そこでお勧めしたいのがホームインスペクションです。契約不適合責任について理解し、インスペクションを活用して、中古住宅の売買をトラブルなくスムーズに行いましょう。


2021-07-20 14:52:22

ホームインスペクションの薦め~中古住宅を売りたい時に~

ホームインスペクションとは?

ホームインスペクションは建物状況調査と訳されます。中古住宅の建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査です。

調査を実施できるのは、住宅診断士(ホームインスペクター)の専門家を認定する検定試験に合格した者だけですが、受験資格に制限はありません。

平成30年4月の宅地建物取引業法改正により、不動産会社が中古住宅の売買を仲介する時に、中古住宅を売買する方に対してホームインスペクションの説明と、希望に応じた斡旋を行うことが義務化されました。あくまでも斡旋の義務化であって実施の義務化ではありませんが、家は大きな買い物なので住宅の品質を知りたいのは当然ですよね。トラブルなくスムーズに中古住宅を売るためには必要な調査ですが、日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。

しかし、令和2年4月に施行された改正民法では、これまでの瑕疵担保責任に変わり契約不適合責任が制定され、中古住宅を買う側の請求できる権利が増えました。売る側がホームインスペクションを行い、住宅の現状を確認しておくことで、安心して買ってもらうことができるでしょう。

ホームインスペクションのメリット

  • ・妥当な価格を提示できる

    住宅の売買は大きなお金が動くので、価格が妥当かどうか見極めることは重要です。ホームインスペクションの結果が良ければ、築年数に関わらず意外に高く売れることもあります。また劣化が見つかっても、適切な修繕を行えば査定価格よりも高く売れるかもしれません。

  • ・安心して取引ができる

    ホームインスペクションを実施すると、中古住宅の築年数だけではわからない劣化の状況がわかります。建物の細かい部分までしっかり調べてもらい、住宅の状態を把握しておけば、売る側も買う側も安心して取引ができますね。

  • ・スムーズに売却できる

    売却前にインスペクションを行えば、「ホームインスペクション済」物件として信頼度が高くなります。その結果、通常よりも早く買い手が見つかったり、希望の価格で売却できることもあります。

  • ・未然にトラブルが防げる

    ホームインスペクションを行い劣化部分や欠陥などを契約書に記載して、買う側が了承していれば、契約不適合責任を負う必要がなくなります。売却後のトラブルを防ぐために、ホームインスペクションは有効だと言えるでしょう。

ホームインスペクションのデメリット

  • ・調査費用と時間がかかる

    インスペクションを行うためには、調査費用がかかります。業者によって費用は異なりますが、最低でも5~12万円はかかります。また、依頼から調査報告が出るまでには2週間程度の時間もかかります。そのため、なるべく費用をかけずに早く売却したい方には向かないでしょう。

  • ・売却できないような状態だと診断されることがある

    インスペクションの結果、修理しなければならない場所が見つかることがあります。修理の程度によってはかなりの費用と時間がかかります。修理は強制ではありませんし売主次第になりますが、きちんと修理すれば住宅の信頼性が増して結果的に高く売れます。しかし、売却できないほど酷い状態だとわかってしまうこともあります。売却そのものを見直さなければならなくなるのは、大きなデメリットです。

  • ・結果によっては値引き交渉される

    インスペクションで欠陥が見つかった場合、値引き交渉される場合があります。また、修理を要求されることもあります。

ホームインスペクションの流れ

  1. 1.問い合わせ・見積もり

    数社に電話またはHPから問い合わせ、料金と診断内容を確認して比較します。

  2. 2.申し込み

    業者と希望の日時を決めて申し込みます。

  3. 3.必要書類の準備

    指定された住宅の立面図、間取り図などを事前に送付します。

  4. 4.ホームインスペクションの実施

    通常は依頼者立会いのもとでインスペクションを行います。診断結果と共に補修やメンテナンスのアドバイスをホームインスペクターから聞きます。

  5. 5.報告書の受け取り

    ホームインスペクターから報告書が送られてきます。不明点は問い合わせましょう。

  6. 6.支払い

    問題なければ料金を支払い、完了です。

    1. ※査定を依頼し媒介契約を結んだ不動産会社から、インスペクションを行う企業を紹介してもらえることもあります。まずは信頼できる不動産会社にご相談ください。

      ホームインスペクションはどこを調べるの?

      ホームインスペクションの対象箇所は、目視できる箇所すべてです。検査方法は目視・計測が中心で、屋根や床下は目視のみになります。壁や床は水平・垂直の計測も行い、傾斜やゆがみの有無を確認します。水回りは排水テストも行います。必要に応じてファイバースコープやサーモグラフィーなどの検査機材を使用する詳細診断もあります。

      • ・ 建物構造の耐久性に関わる部位(基礎、床、壁、柱、梁、土台、床組み、バルコニーなど)
      • ・ 雨漏り・水漏れの可能性がある部位(屋根、外壁、屋外に面したサッシ、天井、内壁、小屋組など)
      • ・ 設備・配管(給水管、給湯管、排水管、換気ダクトなど)
      • ・ その他(門、フェンス、雨どいなどの外工)

      ホームインスペクションQ&A

      Q1. 「どんな業者を選べばいいの?」
      A1. 「ホームインスペクションには費用がかかります。しかし料金の安さだけで選んでしまうとクオリティが下がる危険性があります。業者の実績やスタッフの保有資格(一級建築士や宅建資格)をチェックしましょう」

      Q2. 「費用はどのくらいかかる?」
      A2. 「基本料金・オプション料金・報告書作成料金の3種類があり、基本料金の相場は5~7万円です。オプション料金は物件によって屋根裏や床下へ入る調査をしてもらう時に発生するもので、15,000円~35,000円程度かかります。報告書作成料金は基本料金に含まれている場合が多いですが、詳細な報告書が必要な場合は別料金がかかることもあります」

      Q3. 「時間はどのくらいかかる?」
      A3. 「広さにもよりますが、インスペクション自体は2~5時間程度で行えます。しかし依頼から実施まで1週間、結果が出るまで1週間程度かかりますので、トータルで2週間かかると思っておきましょう」

      Q4. 「インスペクションで家が傷つくことはある?」
      A4. 「目視や計測で行う検査なので、足場を組むこともなく、傷がつくことは考えにくいです」

      Q5. 「結果が不合格だったときはどうすればいい?」
      A5. 「住宅に欠陥があった場合、修理すべきかを判断し、買主が了承すれば不合格であっても売却可能です。ただし、不合格の状態のまま家を売るには売却価格の見直しが必要になります。不合格で売れないわけではありません」

      まとめ~安心して買ってもらうために~

      改正宅地建物取引業法により、中古住宅を仲介する不動産会社から売主と買主双方に対してインスペクションの説明が義務づけられました。また、インスペクション済みの家を買う方に対しては、その結果を売買契約前の重要事項として説明しなければなりません。さらに民法改正で契約不適合責任が制定され、中古住宅を買う方の権利が増えたこともあり、今後はインスペクション済みかどうかが中古住宅の売買で重要になってきます。

      スムーズに安心して買ってもらうために、また売却後のトラブルを減らすために、ホームインスペクションを取り入れてみませんか?


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