コンパクトシティと不動産

コンパクトシティとは?

コンパクトシティって何でしょう? 国土交通省が実現しようとしているコンパクトシティは、以下の特徴を持ったコンパクトにまとまった街のことを指します。

  • 高密度で近接した開発形態
  • 公共交通機関でつながった市街地
  • 地域のサービスや職場までの移動の容易さ

コンパクトシティの実現により、中心市街地を活性化させることができます。交通の便利な市街地に、店舗や住宅、病院などを集めて暮らしやすくすることができるのです。

人口減少・少子高齢化への対応

人口減少と少子高齢化により、大都市圏では高齢化が急速に進んでいます。それに伴って医療・介護の需要が増え、医療や福祉サービスの提供や地域の活力を維持できなくなる不安が生じてきました。高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができるように、地域がサポートし合う社会のシステムを実現するため、既存ストックを活用しながら医療・福祉機能の望ましい配置を進める必要があると国は考えています。
東京圏では、2040年には85歳以上の高齢者が270万人に達すると予測されています。高齢者2人を生産年齢3人で支える状況になるのです。また、福祉施設の不足や老朽化が懸念されます。今後人口減少・少子高齢化により税収が減れば、地方自治体の財政難を招きます。住宅や公共施設、病院など郊外に拡散した生活をサポートする、そんな現在のような福祉サービスを維持することは無駄も多く、コストもかかるためできなくなります。そのため、限られた資源の集中的・効果的な利用で持続可能な都市、すなわちコンパクトシティにしていかなければならないとの提言がなされています。
また郊外に住むことで、近所付き合いの低下や地域コミュニティの希薄化などに伴って、見守りのネットワークからこぼれる高齢者も出てきます。ひとり暮らしの高齢者を地域で支え合うことが困難になっているのです。コンパクトシティは医療や福祉サービスが身近にあるので、高齢者が安心して暮らすことができる街なのです。

防災対策

人口が集中している場所で大規模な地震が発生すると、被害が甚大になる恐れがあるため、コンパクトシティには賛否両論あります。しかし土砂崩れや水害などに対しては、住居や公共施設を危険性が低い地域へ移動させることで、被災者を減らすことが可能だと考えられます。
中心市街地から郊外に拡大された都市の弊害

多くの市区町村が人口減少による税収の落ち込みや高齢者の増加に伴って生活環境が大きく変わり、従来の公共サービスとしての医療や介護などの福祉サービスを維持できない状況が進行する問題を抱えています。
町田市周辺ではJR横浜線、国道16号など町田市外縁を通る鉄道沿線・幹線道路で大規模小売店舗が増加していますが、中心市街地の商業機能は低下傾向にあります。このまま進むと駅前の大規模店の老朽化と商店街の空き店舗化が進み、以下の状態になると懸念されています。

  • バス路線の廃止が増加
  • スーパー、コンビニなどの生活サービス機能が撤退し、買い物難民が増加
  • 市内の大学が都心に移転し、若者が減少

郊外住宅地では市街中心地の活力の低下に伴い、住民の高齢化と相まって、以下の状態が懸念されます。

  • バス路線の廃止が増加
  • 放置された空き地・空き家の増加による治安悪化

中心市街地以外の駅のある市街地では、以下の問題が指摘されています。

  • 来街者の減少により、商業施設や病院が撤退
  • 移動手段が自家用車中心となり、道路渋滞の慢性化
  • 公共施設が維持できず、一部のサービスが停止

コンパクトシティ化に向けての対策

  1. 公共サービスの継続

    従来の公共サービスを維持することは難しいので、サービス拠点を絞ります。拠点以外のサービス地域はコストを節約するため閉鎖します。例えば住民票や証明書発行などは、従来市民センターで行っていたものをコンビニやスーパーに任せます。医療や福祉に関するものは拠点に集約して行います。町田市の場合は町田駅、多摩境駅、鶴川駅、南町田グランベリーパーク駅を拠点とします。

  2. 交通機関の強化

    公共サービスの提供拠点を絞ることで不便にならないように、居住地から拠点までの交通の確保と強化が必要になります。町田市では市内どこからでも15分以内で拠点にアクセスできるようにするため、通勤時間帯の一般車両の駅前進入規制や通行課税制度の導入、幹線バスルートの優先レーンの整備、また多摩モノレールの延伸計画などの施策や交通網の検討を進めています。また、コミュニティバスやオンデマンドバスの導入などにより、地域内のアクセス性も確保していく予定です。

  3. 拠点での住宅、商業地の活性化

    町田市も駅周辺の商業に陰りが出てきています。原因としては郊外の大型店舗の利用が増加していることが考えられます。町田駅周辺は交通渋滞と駐車場の混雑で利用しにくい状況にあります。
    このままでは、人口減少により郊外の商業施設も利用者が減ります。同時に駅周辺の大規模店舗の更新が進まず老朽化し、商店街は空き店舗化しかねません。大規模店の再開発により、集客力を上げることが必要です。住宅や店舗などの市街地への拡散を拠点に集中させ、徒歩圏内で公共サービスや商業施設の利用ができるような街の構築を行う方針です。

コンパクトシティのメリット

  1. 公共サービスの充実

    コンパクトシティが実現すれば、公共サービスを行き渡らせるための費用が少なくて済みます。自治体に余裕が生まれれば、子育て支援や公共施設の充実などの恩恵が受けられるかもしれません。

  2. 高齢者が暮らしやすい街に

    コンパクトシティ化により行政サービスの充実が図られると、病院や薬局、介護サービスが利用しやすくなり、高齢者にとって暮らしやすい街になります。定年後の住み替えにも良いでしょう。

  3. 環境問題の改善

    郊外に住んでいる人にとって、自動車は必要不可欠なものです。しかしコンパクトシティにより徒歩や公共交通機関の利用で事足りるようになれば、自動車を使う頻度も減るでしょう。排気ガスによる大気汚染の問題も改善すると考えられます。

コンパクトシティのデメリット

  1. 居住地域の制限と住環境の悪化

    コンパクトシティでは、居住地域と環境保全の地域を区分けしています。コンパクトシティに賛同できず、移住しない人も出てくるでしょう。拠点では人口密度が上がるので、騒音や近隣トラブル、高層化による日照の問題、居住地域の制限による狭小住宅化、犯罪の増加などもあります。静かにのびのびと暮らしたい人は、郊外に住みたいと思うかもしれません。

  2. 資産価値の格差

    拠点から外れた地域の不動産は資産価値が下落するでしょう。居住地域と環境保全地域での不動産の価値は、格差が大きくなります。今まで都市部の地価が高くて郊外に住むことにした人たちは、都市部に住宅を購入する資金がありません。

コンパクトシティに対する誤解

Q1:市町村内の大きなターミナル駅周辺にすべてを集めるようなまちづくりをするのですか?
A1:中心的な駅と旧町村の役場周辺などの生活拠点が、公共交通機関で結ばれた多極ネットワーク型のコンパクト化を目指しています。

Q2:すべての住宅を一定のエリアに集めるのですか?
A2:すべての住宅の集約を図るものではありません。例えば農業に従事している方が農村部に居住するのは当然のことです。

Q3:居住者や住宅を強制的に短期間で移住させるのですか?
A3:誘導による集約であり、時間をかけながら居住者の集約化を推進します。強制ではありません。

まとめ~コンパクトシティと不動産~

コンパクトシティ化は必ずしも成功していないケースもあり賛否両論ありますが、これからマイホームを入手する場合は今後の人口減少・少子高齢化を見据えておくことが必要です。マイホーム取得を考えている人は、住みたい地区の地方公共団体の資料を閲覧することをお勧めします。各市町村では今後のまちづくりを、都市計画マスタープランとして公表しています。具体的に集約される地区拠点、サービスを継続する地区拠点など、特に今後のまちのありかたや方向性が示されています。特に老後のサービスに影響するので、購入したい不動産の立地条件を踏まえて認識しておくと良いでしょう。

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