マイホーム購入と維持にかかる諸費用

マイホーム購入の盲点!?

マイホームを購入すると、物件購入価格とは別に、税金や引越し代など様々な諸費用がかかります。これらの費用は、物件購入価格の3%~10%ほどになると言われています。

また、マイホーム購入はゴールではありません。住宅ローンの返済のスタート、そして「家」という資産管理のスタートです。それらにかかる費用を見落とすと、新生活の家計を圧迫しかねません。

今回は、マイホーム購入と維持にかかる諸費用について説明します。

マイホーム購入時にかかる費用

1. 仲介手数料

不動産会社の仲介によって400万円以上の不動産を取得した場合の手数料は、以下の計算式で求められます。

物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税

例)2,000万円の不動産を買った場合 → 72万6千円

2,000万円 × 3% = 60万円
+ 6万円
+ 消費税10% = 6万6千円
合計 72万6千円

2. 印紙税(住宅ローン契約時、不動産譲渡契約時)

不動産の譲渡に関する契約で、納税のために契約書に貼る印紙税です。ローン契約書や不動産譲渡契約書など、各々の契約書毎に必要です。

契約金額 本則税率 軽減後の税率
500万円超1,000万円以下 1万円 5千円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円

抜粋:国税庁「「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の 印紙税の軽減措置の延長について」
※ローン契約時に結ぶ金銭消費貸借契約書に貼る印紙については軽減税率はありません。
※軽減後の税率:令和2年4月1日から令和4年3月 31日までに作成される不動産譲渡契約時の契約書に適用される。

3. 消費税(物件引き渡し時)

不動産広告を見ると、税込表示がされていて、土地と建物両方に消費税がかかっているように見えますが、土地には消費税はかかりません。建物だけに消費税はかかります。消費税は物件の引き渡し日に課税されます。

消費税額 = 建物価格 × 消費税率10%

例)1,500万円 × 10% = 150万円

4. 登録免許税及び登記手続き料金(登記時)

土地や建物を購入すれば、その所有権は購入者に移転します。移転の登記や新築した建物の所有権の保存登記にかかる税金が、登録免許税です。
住宅ローンを借りるために土地や建物を担保し、抵当権を設定する登記にも課税されます。

この登記手続きを土地家屋調査士や司法書士に依頼する場合、その報酬額も必要です。登録免許税と登記申請時にかかる司法書士の報酬を混同し、「司法書士に払う金額が高すぎる」と勘違いしトラブルになるケースもあるようです。登録免許税と登記依頼の報酬は別と理解しましょう。

土地、建物の所有権の移転登記、建物の保存登記、抵当権の設定登記の税額は以下の通りです。

登記の種類 登録免許税の税率(本則)
所有権移転登記(土地) 評価額×2.0%
住宅用家屋所有権保存登記(新築建物) 評価額×0.4%
住宅用家屋所有権移転登記(中古建物) 評価額×2.0%
抵当権設定登記(住宅ローン借り入れ) 借入額(債権額)×0.4%

参考:国税庁「登録免許税の税額表」

5. 不動産取得税(不動産取得後)

不動産取得税は、土地や家屋(住宅)を取得した場合に、一度だけかかる税金です。家屋を無償で譲り受ける場合でも、取得したら課税されます。

課税対象額は、固定資産税評価基準による評価額(課税標準額)です。これは固定資産税台帳に登録されている価格です。実際の購入金額や建設費ではないので、注意が必要です。

不動産を取得してから半年〜1年後に納税通知書が届くので、納付期限に注意して支払います。

建物および土地にかかる税率は以下の通りです。


建物の場合

不動産取得税 = 課税標準額 × 4%(原則税率)

※ただし、2024(令和6)年3月31日までに「住宅」として取得した建物に対しては、3%の軽減税率が適用されます。


土地の場合

不動産取得税 = 課税標準額 × 4%(原則税率)

※ただし、2024(令和6年)3月31日までに取得したものについては、評価額(固定資産税評価額)を2分の1に減額し、さらに税率を3%とする軽減措置が取られています。


不動産取得税は様々な税の軽減措置があります。軽減措置により非課税となる場合も多いので、よく知ることが重要です。

以下に東京都の軽減措置をご紹介します。

5.1 新築住宅取得税率軽減措置

建物部分の固定資産税評価額から、さらに1,200万円が控除されます。

軽減措置税額 = (課税標準額 ー 控除額1,200万円) × 3%

 

軽減を受けるための条件

  • 居住用の不動産であること
  • 住宅の延べ床面積が50㎡(一戸建て以外の賃貸住宅は40㎡)以上、240㎡以下

※「長期優良住宅」の認定を受けた場合は、控除額が1,300万円に拡大されます。

5.2 新耐震基準が適合する中古住宅の軽減措置

要件を満たせば、固定資産台帳の評価額(課税標準額)から、定められた額が控除されます。

軽減措置税額  = (課税標準額 - 築年月日ごとに定められた控除額) × 3%

軽減を受けるための条件

  • 個人が自己の居住用に取得した住宅であること
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  • 昭和57年1月1日以降に新築されたものである、もしくは、昭和56年12月31日以前でも新耐震基準を満たす証明がされたものであること
新築された日 控除額
平成9年4月1日〜 1,200万円
平成元年4月1日〜平成9年3月31日 1,000万円
昭和60年7月1日〜平成元年3月31日 450万円
昭和56年7月1日〜昭和60年6月30日 420万円
昭和51年1月1日〜昭和56年6月30日 350万円
昭和48年1月1日〜昭和50年12月31日 230万円
昭和39年1月1日〜昭和47年12月31日 150万円
昭和29年7月1日〜昭和38年12月31日 100万円

引用:東京都主税局「不動産取得税」

留意点

  • 床面積は現況の床面積であり、登記床面積と異なる場合があります。
  • マンション等で共用部分がある場合、当該共用部分の床面積を専有部分の床面積割合によりあん分した床面積も 含まれます。
  • 併用住宅の場合、住宅部分の床面積で判定します。

5.3 新耐震基準に該当しない中古住宅の軽減措置

購入時に新耐震基準を満たしていない不動産であっても、以下の条件を満たせば、定められた額が控除されます。

軽減を受けるための条件

  • 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  • 取得日から6ヶ月以内に、取得した個人が当該中古住宅について耐震改修工事を行うこと、かつ、耐震改修工事後の住宅が建築士等による耐震診断等により耐震基準に適合していることの証明がなされていること
  • 取得日から6ヶ月以内に、耐震改修工事後の住宅に居住すること

 

控除額

新築された日 減額額
昭和56年7月1日〜昭和56年12月31日 12万6千円
昭和51年1月1日〜昭和56年6月30日 10万5千円
昭和48年1月1日〜昭和50年12月31日 6万9千円
昭和39年1月1日〜昭和47年12月31日 4万5千円
昭和29年7月1日〜昭和38年12月31日 3万円

引用:東京都主税局「不動産取得税」

 

留意点

  • 昭和56年12月31日以前の新築については、上記の条件を満たさなければ控除されません。
  • 昭和29年6月30日以前に新築された住宅の場合、上記の条件を満たしていても控除されません。
  • 当該住宅の価格が控除額未満の場合はその額を限度とします。
  • 併用住宅の場合は、非住宅部分からは控除されません。

6. 固定資産税・都市計画税

固定資産税は、毎年1月1日現在の土地・家屋などの所有者が納める税金のことです。
固定資産税評価額(課税標準)の価格をもとに算定され税率は1.4%(標準税率)で市区町村が課税します。

固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%

 

都市計画税は、公園・都市計画道路・下水道・土地区画整備事業等に要する費用に充てるために課税するものです。税率は最高で0.3%です。ちなみに町田市は0.24%、相模原市は0.3%、海老名市は0.2%です。固定資産税とともに納税します。住宅用の家屋や土地は軽減措置が適用され課税標準や税額が下がります。

都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%(最高)

※固定資産税評価額(課税標準額)は3年に一度見直されます。

6.1 住宅用地の特例措置

特例の対象は、専用住宅(居住専用の家屋)と併用住宅(店舗などと併用されている住宅)があります。今回は併用住宅の説明を省略します。

専用住宅の場合は、その上に存在する家屋の、総床面積の10倍までの土地が、特例措置の対象となります。住宅用地の特例措置を適用した額は、下表の通り計算されます。

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分 価格 × 1/6 価格 × 1/3
一般住宅用地 小規模住宅用地以外の住宅用地 価格 × 1/3 価格 × 2/3

引用:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

6.2 新築住宅の減額

新築された住宅が50㎡以上280㎡以下の場合、新たに課税される年度から一定の期間、居住部分で1戸あたり120㎡相当分までを限度として、固定資産税の1/2が減額となります。

減額される期間は以下の通りです。

建物の条件 減額期間
認定長期優良住宅で3階建て以上の耐火・準耐火建築物 7年間
認定長期優良住宅(上記以外) 5年間
一般の住宅 3年間

7. 住宅ローンにかかる費用

住宅ローンに必要な費用は、収入印紙代(ローン契約書)、融資事務手数料、抵当権設定登記費用、抵当権設定登記手数料、住宅ローン保証料、団体信用生命保険料、火災保険料・地震保険料、フラット35を使用する場合は物件検査手数料などの費用が必要となります。

7.1 収入印紙代(ローン契約書)

住宅ローン契約時、金融機関と交わす課税文書である「金銭消費貸借契約書」に貼る印紙代です。詳細は印紙税の項目をご覧ください。

7.2 融資事務手数料

住宅ローンを金融機関から借りるときの手数料です。
金融機関によって異なりますが、定額と定率の2種類あります。

定額:金融機関ごとに異なるものの、融資金額の大小に関わらず定額
→ 初期費用をおさえたい方、短期間で返済したい方向け
定率:融資金額に、金融機関ごとに異なる率を掛けた金額
→ 長期返済予定の方、初期費用を多く支払っても後の支払いをおさえたい方向け

融資事務手数料は高いが金利が低いなどのケースもあるので、諸費用も含めて、総支払金額がいくらになるのかを確認する必要があります。

7.3 抵当権設定登記費用(登録免許税)と手数料

住宅ローンを借りるには、返済し終えるまでの間、購入する土地や建物を担保し、貸し手の金融機関に抵当権を設定する必要があります。抵当権設定登記費用は、この抵当権設定の登記にかかる税金です。税率は原則0.4%で、借りたローンの金額にかかります。

なお、一定の条件(※)を満たせば、登録免許税の税率が本来の0.4%から0.1%に引き下げられます。

特例措置を受ける条件

  1. 2022年3月31日までに抵当権設定登記を行うこと
  2. 個人が使用する床面積50㎡以上の住宅
  3. 新築後または取得後1年以内に登記すること
  4. 中古の場合は2、3に加えて、築25年以内(木造は20年以内)に建築されたもの。築年数がこれを超えている場合は、一定の耐震基準を満たすもの。

また、この登記にかかる司法書士への報酬も別途かかります。

7.4 住宅ローン保証料

住宅ローン保証料とは、保証会社に保証人となってもらうための費用のことです。
不測の事態で契約者がローンを支払えなくなった場合には、保証会社は払えなくなった債務を肩代りして銀行に支払います。ただしその後、契約者は残債や遅滞利息を保証会社に支払う義務が生じるため、債務がなくなるものではありません。
なお、フラット35では保証料は不要です。

7.5 団体信用生命保険

団体信用生命保険(以下、団信)とは、債務者が死亡した場合や、高度障害状態となり債務の返済ができなくなった場合に、保険会社が債務者に代わって残債を支払う保険のことです。

民間金融機関の住宅ローンは、その多くが団信の加入を義務付けています。

返済期間中に何が起こるかは予見できないため、たとえ任意であっても加入することをおすすめします。
ちなみにフラット35は団信の加入は任意ですが、住宅信用保険機構でも団体信用生命保険を用意しています。
ただし、団信への加入には健康状態の告知および審査があります。

7.6 火災保険料

火災保険とは、地震以外の自然災害などにより、住まいが被害を受けた際の損害を補償する保険です。

民間の住宅ローンやフラット35で借り入れをする場合は、火災保険の加入が必要です。

もし、やっと購入した家が失火やもらい火で全焼してしまった場合は、住む家を失うばかりか、住宅ローンの残債も払えなくなります。適切な保険金額を設定した火災保険に入っていれば、再度、家を建て直すことが出来ます。

なお、地震が原因となり発生した損害は火災保険では補償されません。

7.7 地震保険料

地震保険とは、地震が原因で発生した住まいの損害を補償する保険です。

地震保険単独での加入はできません。火災保険に原則自動付帯しています。
公共性の高い保険で、保険会社には利益が生じません。また、各保険会社で補償内容も同一です。

地震はいつ起こるかわかりません。また、起これば甚大な被害が出ます。地震保険は加入すべき保険です。

8. 修繕積立金(新築マンション)

修繕積立基金とは、新築マンションを買う時にかかる費用です。住居により必要な金額は異なります。

9. 水道負担金(一戸建て)

新たに水道を利用する際に必要になる場合があります。新居の属する自治体によって、必要な額も異なります。

10. 引越し費用

現在の住まいから、新居に引越すための費用です。

11. 家具・家電購入費用

住宅購入の際は、間取りや広さが変わるので、新しい家具や家電が必要になることもあります。

マイホーム維持にかかる諸費用

1. 住宅ローンの金利

住宅購入後にかかる費用の筆頭は、住宅ローンの金利です。
例えば、3,000万円を返済期間35年で全期間固定金利1.0%のフラット35で借りた時のシミュレーションをしてみましょう。

借入金:3,000万円
返済期間:35年
返済方法:元利均等返済
ボーナス割合:0%
適用金利:1.0%(全期間固定金利)

毎月返済額:8万5千円

総返済金額:3,557万円

金利を1.0%としても、利息が557万円発生します。高級車が買えるくらいの金額ですね。
現在は借入金利が低く、住宅ローンを組むには好条件です。それでも、少しでも家計の負担を軽減させたいものです。

以下に住宅ローン減税とフラット35Sをご紹介します。

1.1 住宅ローン減税

住宅ローン減税制度は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。

10年間に渡って、年末のローン残高または住宅取得金額のいずれか小さい額の1%が、所得税および住民税から控除されます。(一般住宅の場合、毎年最高40万)
初回は確定申告が必要ですが、2回目以降は給与所得者であれば年末調整で行えます。

利用条件などの詳細は以下をご覧ください。

国土交通省「住宅ローン減税制度の概要」

1.2 フラット35S

購入する住宅が、フラット35Sの基準を満たす住宅であれば、金利がマイナス0.25%となる優遇金利で借入ができます。

利用条件などの詳細は以下をご覧ください。

住宅金融支援機構「フラット35S」

2. 固定資産税と都市計画税

固定資産税と都市計画税は、毎年課税されます。税率や減税制度については前述した通りです。

3. 修繕費・管理費(マンション)

マンションの場合は、住宅ローンの返済とは別に、修繕費・管理費がかかります。

管理費は、日々快適に過ごせるように共用部分の廊下や敷地などの清掃をしたり、共用施設の維持管理などに使われる費用です。また、修繕積立金は、長期修繕計画に基づき外壁、屋根、配管などのメンテナンスに出費される費用です。

築年数が経過すると金額が高くなることや、大規模修繕のために臨時徴収されるケースもあるので、住宅購入前にある程度の値上がりをシミュレーションしておくことが必要です。

4. メンテナンス費用(一戸建て)

屋根や外壁、給湯設備などは、経年劣化し傷んできます。長期的な視点で考え、修繕のために毎月積立をしておくとよいでしょう。

5. リフォーム費用(マンション・一戸建て)

壁紙、フローリング、浴室、キッチンなども、経年劣化し傷んできます。使い方によって傷み具合は異なりますが、15年〜20年がリフォーム時期と言われています。

6. 水道光熱費

部屋が広くなったり、部屋数も増えている場合は、冷暖房費や水道代が上がります。特に、賃貸から広い住宅に引越した場合などは注意が必要です。

7. 火災保険料

近年、自然災害による損害額が増え、保険会社の収支が悪化したため、火災保険は10年以上の契約ができなくなりました。10年ごとに火災保険の加入経費がかかることを念頭に置いておきましょう。また、10年後に同じ条件、同じ金額で火災保険がかけられるとは限りません。値上がりすることも想定して、長期的な視点で積立をしておきましょう。

まとめ

今回は、住宅購入時と住宅購入後にかかる費用についてまとめました。思った以上に大きな金額となり、驚いたのではないでしょうか。

あらかじめ知っておけば、「住宅購入時の諸費用が払えなくて、計画通りに進められなかった」「メンテナンス不足で、住宅が劣化してしまった」などのトラブルを未然に防ぐことができます。

計画的に夢のマイホームを手に入れましょう!

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