土地、家を購入する前に……建築基準法とは

建築基準法とは?

建築基準法とは、建物を建築する際や利用する際に守らなければならない最低基準を定めた法律です。建築物についてルールを設けることで、安心で安全な生活を送れるよう目指したものです。目の前に日照を遮る大きな建物が建設されたり、購入したマイホームが雨漏りしたら大変ですよね。建築基準法は生命・健康・財産の保護のために必要な法律なのです。

建築確認とは? 勝手に家は建てられない!

建築確認とは、家を建てる前に建物や地盤が建築基準法に適合しているかどうか確認することです。建蔽率や容積率が守られているか、シックハウス対策は行われているか、居室は採光が十分か、まちづくりの計画に合っているかなどがチェックされます。家の新築のほかに、リフォームでも10㎡以上の増築は建築確認が必要です。ただし準防火地域や防火地域では1㎡の増築でも建築確認が必要です。

建築確認は指定された確認検査機関が2度行います。最初は着工前で、書類での確認です。2度目は工事が終わってからで、申請通りに立てられているかどうか担当者が実際現地に来て確認を行います。

建物が未完成の広告では、建築確認を表示しなければなりません。建築確認は建築申請し、受理されてから7日以内に確認証が交付されます。

接道義務とは? 家は道路に面していなければならない!

建物が建つ敷地は幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。これを接道義務といいます。火災などの消火活動や避難に支障をきたさないよう、消防車や救急車が通れるように、接道義務が設けられています。

ただし、空き地が周囲にあり安全だと判断された場合は例外です。また幅4m未満でも、特定行政庁が指定していれば「2項道路」や「みなし道路」といって例外の扱いになります。

セットバックとは?

建築基準法のできる前からある古い道路は、幅4m未満のものでも建築が認められています。ただし、再建築する時は道路の中心線から2m後退させます。この後退をセットバックと言い、後退させた線が道路境界線になります。宅地や中古戸建の購入時は「セットバック〇〇㎡要」の文字に注意が必要です。

セットバック部分のある土地

再建築不可の建て替えできない土地がある

旗竿地で道路に2m以上接道していない、他人の土地を通って道路に出るなど敷地が道路に面していない場合、更地にして新築ができない再建築不可の土地があるので注意が必要です。(建築確認の不要な改築やリフォームはできます)

旗竿地 飛び地

用途規制とは? 周辺の環境がわかる!

建築基準法では、この地域は住宅用、あるいは商業用、工業用、というように、エリアごとに用途地域を定めています。このルールを用途規制といいます。用途地域が定められていないと、どうなるでしょう? みんなが自由に好きな建物を建てると、自然に囲まれて静かに暮らしたいのに、家の隣にパチンコ屋や工場ができたりします。それを防ぐために市街地を分類して、地域ごとに建築できる建物を規制しているのです。では、どんな地域があるのでしょうか?

用途地域は13種類あり、住居専用地域、住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域の順に大規模な建築物、飲食店、娯楽用の店舗などの規制が緩やかになります。工業地域や工業専門地域では、住宅や宿泊施設の建設が規制されたり、建築できなかったりします。第1種低層住居専用地域は1~2階建ての一戸建て専用の住宅が建てられるので、住宅街だと思ってよいでしょう。一方、高層マンションの用途地域は商業地域になります。映画館や百貨店なども建てられる場所なので、活気のある街中というイメージです。平成30年に新設された田園住居地域は、戸建などの低層住宅地に農地のある地域が指定されています。農地の宅地化を防ぐための用途地域です。

建蔽率とは? 建築できる面積が制限される!

建蔽率では、敷地にどれくらいの床面積の建物が建てられるかを規制しています。敷地いっぱいに建物を建てると防火上・住環境への悪影響(隣の家に日が当たらないなど)が生じるため、土地に対して建物が占める割合を規制しているのです。これは都市計画で用途地域ごとに30~80%の範囲内で定められています。建蔽率は以下の計算式で求めることができます。

建蔽率=建築面積÷敷地面積×100

異なる用途地域にまたがる土地の場合は、それぞれの地域に対する用途地域の割合に応じて割り振って計算します。例えば敷地面積が100㎡、うち60㎡が建蔽率50%で40㎡が建蔽率80%の場合は、以下の計算式です。

建蔽率=(60㎡×50%+40㎡×80%)÷(60㎡+40㎡)×100=62%

この場合、この土地に建てられる建物の建築面積の上限は100㎡×62%=62㎡となります。

〈例外〉

  • 防火地域内に耐火建物を建てる場合や、角地にある土地の場合は、延焼の可能性が低いので、用途地域ごとに定められた建蔽率に+10%の緩和がされます。
  • 建蔽率が80%で防火地域内に耐火建築物を建てる場合、建蔽率の制限を受けずに建物を建てることができます。

容積率とは? 延べ床面積にも制限がある!

建物の敷地面積に対する延べ床面積の割合を容積率といいます。これも用途地域ごとに上限が定められています。これを指定容積率と呼びます。以下の計算式で求められます。

容積率=延べ床面積÷敷地面積×100

例えば100㎡の土地の容積率が150%の場合、150㎡の延べ床面積の建物が建てられます。

〈例外〉

1.前面道路の幅員が12m未満の場合

敷地の前面道路の幅が12m以下の場合、指定容積率と「前面道路によって定める容積率の最高限度」のうち、小さなものがその土地の容積率の上限になります。前面道路によって定められる容積率の最高限度は、前面道路の幅員に、用途地域ごとに定められた法定乗数をかけ合わせて求められます。

容積率=道路の幅員×法定乗数(居住用の場合0.4)

例えば前面道路が4mの場合、4m×0.4=160㎡となり、この土地の指定容積率が80%の場合、指定容積率のほうが小さいので、この土地の容積率は上限80%になります。

2.特定道路から70m以内の敷地の場合

敷地の前面道路の幅が6m以上12m未満で、特定道路(幅員が15m以上の広い道路)から70m以内にある敷地の容積率は、前面道路幅が12m未満であっても容積率は緩和されます。

3.敷地周辺に広い空き地がある場合

特定行政庁が認可した場合のみですが、容積率が緩和される場合があります。

4.車庫、備蓄倉庫などの部分は容積率に含めない

居住用以外の用途で使われる部分については容積率に含めない特例があります。

  • 車庫に使われる建物の部分は、延べ床面積の1/5を限度として、容積率に算入されない。
  • 防災用備蓄倉庫、蓄電池を設ける部分は延べ床面積の1/50を限度として容積率に算入されない。
  • 自家発電設備、貯水槽を設ける部分は延べ床面積の1/100を限度として容積率に算入されない。

高さ制限とは? 建物の高さには上限がある!

建てられる建物の高さは、都市計画などによって上限が決められています。前面道路や隣地の陽当たり、通風の確保などのためです。

1.絶対高さ制限

第1種・第2種住居専用地域、田園住居地域に適用される高さ制限です。陽当たりに配慮して設定され、10mまたは12m以内のどちらか都市計画で決められています。

2.道路斜線制限

道路の陽当たりや環境の確保の目的で設けられた高さ制限で、すべての地域に適用されます。前面道路の反対側の境界線から、一定の勾配で示された線の内側が建築できる範囲になります。道路斜線制限の高さは、道路中心の高さからの高さです。地盤面からの高さではありません。

3.隣地斜線制限

隣地の陽当たりや住環境を守るために設けられた高さ制限です。地面から20mを超える部分から制限がかかります。隣地斜線制限の高さは、地盤面からの高さです。隣地境界から一定の高さを超える部分に斜線による高さを制限するもので、よく斜めに切り取られたデザインのマンションを見かけるのはこの制限のためです。低層住居専用地域以外に適用されます。

4.北側斜線制限

北側斜線制限は低層や中高層の住居専用地域の北側に適用するもので、北側の隣地の陽当たりの悪化を防ぐための高さ制限です。敷地の北側境界線に一定の角度で斜線を引き、その外側には建物を建てられません。

防火地域・準防火地域とは?

建物が密集する地域で火災が発生した時、できるだけ延焼しないように都市計画法で定められているのが、防火地域と準防火地域です。これらの地域に建物を建てる場合、建築基準法によって建物の構造や材料など、必要な耐火性能が定められています。建築コストがかかるので注意が必要です。

たとえば防火地域内に3階建て以上の建物を建てる場合は鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火性のある建築物でなければなりません。また、2階建て以下であっても延べ床面積が100㎡を超える場合には耐火建築物にしなければなりません。

準防火地域の場合は4階建て以上の建物、1500㎡を超える建物の建築には耐火建築物としなければなりません。基準は防火地域よりは緩和されています。

建築基準法の耐震基準~長く住むために~

地震の多い日本では、簡単に倒壊しないように地震に対する建物の強度基準を建築基準法で定めています。耐震性は平成12年に制定された「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」に基づいて、耐震等級という基準で評価、表示されるようになりました。

  • 等級1:建築基準法と同程度の耐震性能
  • 等級2:建築基準法の1.25倍程度の耐震性能
  • 等級3:建築基準法の1.5倍程度の耐震性能

では、建築基準法と同程度の耐震性能とはどの程度のものでしょうか。
昭和56年6月1日以降に建築確認で合格した物件は、新耐震基準に基づいて設計されています。旧耐震基準と新耐震基準を比較は、以下の通りです。

地震規模 旧耐震基準 新耐震基準
中規模(震度5強程度) 変形・倒壊しない 損傷しない
大規模(震度6強~7程度) 規定なし 倒壊・崩壊しない

建築協定ってなに?

地域の環境を維持するために、都市計画の手続きを経ないで住民の合意という比較的簡単な手続きで設定できる取り決めです。建築協定では、建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠、設備に関する基準を定めることができます。建築協定に違反する場合は、建築協定の中の違反者への措置として裁判で認められれば強制履行、強制執行などで工事の指し止めなどが行われます。

家屋にも決まりがある

住宅の居室にも決まりがあります。たとえば、居室の天井は平均の高さで2.1m以上必要になります。また、採光や換気のために、各居室には窓を造らなければなりません(納戸は居室に入りません)

そして、避難経路となる階段にも決まりがあります。階段は75cm以上の幅が必要な他、踊り場の位置や踏み面の奥行、蹴上の高さにも細かい決まりがあります。

まとめ

土地を購入し家を建てる時、建売の家を購入して利用していく時など、最低限知っておくと良いものをまとめましたが、いかがでしたでしょうか。注文住宅を建てる時など、ハウスメーカーと打ち合わせする時に知っておいて損はありません。建築基準法で定められた基準や規制を理解しておけば、住宅の取得や維持管理の面において手助けになることでしょう。

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